Digital Audio Signal 処理

 ATAPIコントローラで制御するCDドライブからは Digital Audio 信号が得られるのでこれを使わない手はない。
 CDドライブのアナログ信号を使ってもPCで再生するより、クオリティの高い音源となることから Digital信号を お気に入りの
 DACチップで 再生した時の クオリティアップに対する 期待は大きい。

  Digital信号を Audioアンプに入れられるようにするには アナログ信号に変換する DAC が必要であり、個々のIC
  チップやパーツを使って DCAを組む場合は、 [ DAI チップ + DACチップ ] という構成になる。

 1. DAI (Digital Audio Interface)
       SPDIF から得られる信号を、DAC IC チップに入力する信号フォーマットに変換する。
   変換出力するフォーマットは、I2S、LeftJustified, RightJustified 等がある。組合せるDACチップにより選択する。  jump  => DAI回路

 2.DAC (Digital to Analog Converter)
      DAI によって変換されたDigital信号を、アナログ信号に変換する。
   種々のICチップが存在し、アナログ信号のクオリティに大きく影響する部分である。  jump => DAC回路



CS8416 DAI

  DAI のチップで比較的入手が容易で汎用性の高い ICチップとしては、 Cirrus Logic CS8416 と Texas Instruments DIR9001 が
 あるが、今回は既に使用経験のあった CS8416とした。 このチップの特徴としては、各種モードの設定を ジャンパ等で設定する
 ハードウエアモードと、マイコンで初期設定するソフトウエアモードがあるが組み合わせるDACがほぼ特定できる場合、ソフトウエア
 モードで 設定に汎用性を持たせても あまり御利益がないので、シンプルな構成が可能なハードモードで作ることとする。

 回路デザインは下記の通り。

     

  特徴:
  ・Digital入力は、Coaxを3入力とOpticを1入力対応できるよう準備してある。
  ・出力は、コネクタを2つ用意してみた(現実には用途はなさそう ・・?)
  ・出力フォーマットは、、I2S、LeftJustified, RightJustified,AE3の4フォーマット

  <Digital入力を切り替える>
  Digital入力切換も、Jumperピン切換で使用するしか無いかな、と思っていたのだが、動作中の切換でも
  問題なく (特に切換時のノイズ等) 切り替えられるようなので、急遽 切替用のSWを作った。 仕様的に都合良い
  ロータリSWが 手元に無かったで マイコン(tyny2313) を使って 切り替えることにした。

         

  ロータリーDIP SW を切換用として使い、エンコード出力を出すだけの単純なもので、DIP SWの表示が小さくて見えないので
  7segLEDで表示するようにしている。 DIP SWは10ポジションのエンドレス回転構造なので、1=>2=>3=>4 =>1=>2 ・・・・・・
  となるようプログラムしてある(プログラムというより単純なシーケンス記述に過ぎない) 組み立てとプログラム書込合わせて
  2H程の作業量なので、秋葉原まで部品を買いに行くよりは 早くできる。 DAIやDAC基板は Sysytem72 なのでユニバーサル基板と
    組み合わせでもサイズ統一できており、取付なども簡単である(取付孔が他の基板と同じなので移動してもすぐ共用できる)

  DAI基板(右側、さらにその右はDAC)と組み合わせて使うが、PCからのUSBのDigital Audio出力と CDドライブのDigitalを
    これまでは 都度入力ケーブルを つなぎ替えていたのだが 瞬時に切り替えられて なかなか具合が良い。

    参考に、ロータリSWで切り替える場合の回路です。
       


           




   何度も言いますが 本当はロータリーSWだけで十分なんです ・・・・・ マイコンが 便利過ぎて ついつい使ってしまう



PCM1794 DAC


 BBのPCM1794は、現状手に入るAudio用のDACチップとしては最上級のスペックを持つようです。
音質的な評価も結構高く、MJ誌等の自作Audio 雑誌等でも制作記事が載ってたりします。
ICを取り寄せたものの変換基板で作る気にはなれず時間が経過。 Winアプリが一段落したので
PCM1794を使ったDAC基板の設計をスタート。

                    ( DAC基板を小型化したものを追記しました。 jump=>小型バージョン

 まずは回路デザイン。
 回路はBBのデータシートと上記MJ誌の記事を参考に、OPアンプはOPA2604をI/V変換、OPA604を差動/シングル変換として採用。


     動作モードは、 RightJustyfi-24bit、 0dBVout=4.5V rms、 Vcc/Vee ±15V

 I/V変換にDualタイプのOPA2604を使う予定なので、Over Power にならないか 確認。
 BBのスペックシート(下図参照)では、電源±15V 負荷600Ωの場合、パッケージ損失は 500mW程と見積もられており、今回 820Ω負荷で
 使用することでもあり、OverPowerにはならない、と判断。

 


 SSOPの手作りでは懲りているので、試作基板はプロの基板屋に頼むことにして つくったが下の写真。
 CS8416DAI基板と±15V電源基板は以前に試作した物を流用。トランスを載せる基板はエッチングで手作り。

   
                         Museコンデンサの奥に配置したブルーLEDがまぶしい



 I/V変換にデュアルタイプのOPアンプを使ったので、発熱が心配。 触ってみると案の定 熱い。 
 H8マイコンを使った温度測定システムでOPA2604にセンサーをテープ止めし測定した結果、
 室温29℃で15分後 表面温度が58-59℃ 温度上昇が30deg程度なのでひとまず一安心。

        
                LM35+H8/303048+WinXP温度ロガー(H8TempRec)にて。




 基板デバッグを終え早速バラックで試聴。

 今まで使っていた TDA1543パラより 「音に静寂感がある」 と思われるのだ。 
 これが トップクラスのS/N性能が引き出す音なのか。 悪くない。


 ところで、この回路の場合CDの録音レベルが 「0dB」の場合 「4.5V rms」 の出力が得られる。
 本当に出ているのか測定してみた。

    

 4.36V出ている。 オシロのDVMはあまり信頼性は高くないが4.5V弱出ていることは明らかで、
 S/Nを稼ぐためやむを得ない設定なのであはあるが、現実としては迷惑なレベルでもある。

 後段につながるシステムのためにも 「2V rms」 程度には抑えたい。(出力にATT追加要す)



 <参考>
 測定には、KENWOODの DG2432A デジタル・シグナル・ジェネレータを使っています。このD.S.G.は
 ほとんどの測定データの設定がパネルで出来ません。 前もってPCにつないでパラメータを設定しないと
 いけないのですがターミナルソフトでコマンド手打ちしなければならず、非常に使いにくい。 ということで 
 操作用Windowsアプリを作って使用しています。

 ご希望があれば、このアプリを進呈しますので Mi-Take までメール下さい。

  




  DAC基板の小型バージョン

  Sysytem72基板を 組み合わせてつかっていると、72x47サイズと72x94基板が混在している場合、72x94基板の占有面積の大きさが
  気になり、72x47に収まらないか、種々検討し 再設計した。

  ポイントとしては電源に入れてある 25V330Muse電解コンデンサの省略と、I-V変換用オペアンプの後段をOPA604のシングルタイプ
  からOPA2604のデュアルインタイプとする、電源のレギュレータ(5V用廃止し5Vコネクタ、3.3V用はチップタイプ)の
  変更で面積縮小対応することとした。 回路は下図のように修正された。また、DAI <=> DAC 間のコネクタケーブルを 4Px2使っていた
  ものを、5Px1に変更した。

   


    パスコンに使う 小容量の電源コンデンサを Museタイプとし音質の確保には気を遣ったつもりである。
    基本的な回路は、72x94基板バージョンと変わっていないため 音質的には差がないと思われるのだが、
    迫力は さすがになくなってしまった。
    
   


  それでも CDドライブに内蔵されている DACに比べると 「月と スッポン 」 であり 決して 「猫に小判 」 ではない・・と言いたい。






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