System72
LME49600 ヘッドフォン アンプ  測定編

 ■ Pop Noise  こちら
 ■ DC Offset  こちら
 
スルーレート = 2000V/μS とか、THD+N = 0.00003% 等、残念ながら測定限界を超えています。 どういう事か。 

例えば 歪み特性が、LME49600のスペック(LME49710組合時)は 3V出力時 0.00003% である。 
つまり 3V に0.0009mVの ノイズ混入に相当する。 ??桁を間違えそう・・・

通常(私の場合)測定には、「プローブ」 とか「鰐口クリップ」 を使う。 

測定環境には、無線LAN用 ルータ や Hub、PC、Display等の外乱ノイズが飛散/拡散しており、上記のような測定端子を使うと、
測定器の入力端子を  22-100Ω位でシャントしても リニアでは、0.3mVを切るのがやっとである。 幸い アナライザーには 30K/80KHzの
LPFがついているので なんとか 0.03mV位まではいくのではあるが。 

つまり、3V出力時で0.001%、1V出力時で0.003%が限界ということである。  多少の細工では あと 4-5dB下げるのが 精一杯だろう。

また入出力にコンデンサなどないため、周波数特性も、10-100KHz殆どフラットである。

ということで、このクラスのアンプでは 歪み特性とか、周波数特性の測定は、異常動作(設計ミスによる動作異常)を確認することに
とどまります。 最も気になる スルーレート 2000V/μV  も未確認。  


最新型 LME49600ヘッドフォンアンプAssy
      
左右対象部品配置、HE-4P 出力端子付き。
前置アンプ 及びサーボに OPA2604 使用。
電源は ±15V がお勧め

極力短いパターンで LM49600からHP.Jackまで配線してます。 でも ヘッドフォンってケーブル 長〜い。



 ポップノイズ


前置アンプ及びサーボに使う オペアンプを種々検討した。 音質からいうと 独断と偏見で OPA2604 となるのだが OPA2604 を使っていて
少し気になった点があったので、手持ちのオペアンプで 比較測定してみた。

<条件>
 ・電源 : system72の±15V電源基板 + トランス(15V25VA/トロイダル型) を使用
 ・負荷 : 22Ω 抵抗


   <注:結果は使用するトランスのレギュレーションや、電源回路のコンデンサ、3端子レギュレータ等に影響されます。参考としてご覧下さい>

音質比較、ポップ音(電源on-offノイズ)比較に用いた オペアンプ。
 

NJM4565 NJM2068 NJM072
LM4562 NJM4558 OPA2134
NJM4556 NJM5532 NE5532
NJM4580 LME49720 OPA2604


電源オン時の ポップノイズ波形 (22Ω抵抗負荷
4565
2068
072
4562
4558
2134
4556
5532/JRC
5532/TI
4580
49720
2604
黄:Lch 赤:Rch  0V位置は L/Rで ずらしています



電源オフ時の ポップのイズ波形 (22Ω抵抗負荷)
4565
2068
072
4562
4558
2134
N/A N/A 5532/TI
N/A 49720
2604

上記の波形から分かるように、お気に入りのOPA2604は ポップノイズが大きいグループに属する。
OPA2134や LME49720等が ポップノイズの点では有利である。

ポップノイズが小さいのは、4558 であった。 ロングセラー/ベストセラーは 「伊達じゃない」。  恐るべし 4558。 
電源on-off時のポップ音は、音楽鑑賞の手順でも気になり方は変わってくる。 
電源を入れる前からヘッドフォンを装着していなければ、電源on時のポップ音は問題にならないし、ヘッドフォンを外してから
電源をoffするなら 電源off時のポップ音も気にならない。 

携帯用アンプではないのだから通常はそのような手順であるのだが、とはいえ 気にし出すと何となく気になる。 


ということで、

   
 アンプの EH-4Pコネクタから 出力が取り出せる。 ミューティングの入出力端子は、現在の仕様ではライン出力を制御する
 前提なので、 FR-4P仕様であるが 4P-4Pなので接続は容易。 
  (ヘッダーピンタイプのコネクタはロック無しであるが、 ロック付きタイプのEH-4Pに変える事は可能)


DC OFFSET

各オペアンプを使用した時の 出力端子DCオフセットと、
サーボアンプの効果を測定しました。 意外な結果に注目



出力端子のオフセット測定       Lch/Rch  [mV]
前置アンプ サーボ
無し
サーボ用アンプ
OPA2604 LME49720 OP275 NJM4558 NJM072
(参考)

NJM4558

3.2/4.3 0.0/0.4 -14.7/-8.2 1.2/1.1 -0.6/-0.9 NA

OPA2604

0.1/-0.8 -0.2/0.0 -13.7/-7.6 1.2/1.1 -0.5/-0.9 NA

LME49720(1)

1.9/-2.8 -0.1/0.0 7.9/7.7 1.2/1.1 -0.5/-0.9 2.2/0.5

LME49720(2)

1.3/0.7 0.0/0.4 13.8/8.7 1.2/1.1 -0.5/-0.9 NA

OP275

28.1/28.1 -0.2/0.0 -14.4/-8.5 1.2/1.1 -0.5/-0.9 NA

LM6361
(参考)
-430/-450 -0.2/0.0 NA 1.2/1.1 -0.5/-0.9 NA

測定条件

 電源 : Sysytem72 ±15V電源 (type-E/3300uF)
 負荷 : 330Ω
 DVM :  DC 200mV レンジ (分解能 0.1mV)

測定結果の見方
・サーボ無しで、OPA2604のオフセットは1mV以下であり OPA2604の場合は サーボアンプ無しで使用可能なレベル。
 NJM4558、LME49720も オフセットは 5mV以下に収まっており、サーボ無しでの使用も問題無いレベル。

・OP275は、サーボ無しで使うにはちょっと厳しいレベルである。

・サーボアンプに使った場合、OPA2604の押さえ込みは優秀で、NJM4558が次に続く。
 OP275を使った場合のオフセット値はやや大きめながら、どの組合せでも安定した結果をしている。

LME49720をサーボアンプに使うと、オフセットが大きくなるケースが発生しサーボアンプとしての使用は好ましくない。
 従って、音質的に前置アンプに LME49720を使う場合は、サーボアンプは NJM4558がコストパフォーマンス Good。
 完璧を目指すなら、OPA2604を組み合わせる。

・参考出場のLM6361とNJM072について
 => LM6361は、スルーレート 300V/uS,  GB=50MHz の高速オペアンプ (1ch入り) Unity Gain Stable。
   オフセットは大きいが(無調整のため)サーボアンプで押さえられるので、前置アンプとして採用可能。
 => NJM072は、低価格FET入力OPアンプとして、サーボ用候補と考えたのだが、NJM4558の方が優秀なので 不採用。




<結論>
1. サーボアンプに使うなら、NJM4558がベストチョイス。 完璧を目指すなら OPA2604がお勧め。
2. LME49720は音質的に高評価ではあるが、サーボアンプとしては不適格。 上記1. を組み合わせるべし。
3. LM6361高速オペアンプはオフセット調整無しでも サーボでオフセットを押さえられるので前置アンプとして採用を予定。
  ドンシャリ的な音質かと思いきや、結構繊細な音を聴かせます (高域が伸びたアンプは爽やかな音質傾向になります)


なんと、NJM4558は ポップノイズ優秀賞に続き オフセット調整サーボアンプで 名脇役賞 に。
しかし、 何でだろう ・・・・・ 4558



MAR. 30. 2010.  mi-take  .



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