IV コンバータ (電流-電圧変換)


トランス式IV回路 => here
ノーマル IV変換基板 => here
トランス式IV第2弾はルンダールのトランスで => here
東栄 600CT-10KCT の特性について => こちら



IV変換を トランスでやってみました。
simple is best と なるのか

なぜ トランス式IV なのか・・・については ブログ を参照
PCM1794は、差動出力ですから、トランスの1次側はセンタータップ付きのものを使用すれば、シングルエンドにも変換できますから、1個のトランスでIV変換且つ、シングルエンド変換が可能になります。  また、トランス自体は高周波特性が芳しくありませんから、64fs以上でオーバーサンプリングされ出力に含まれる高周波ノイズをカットするローパスフィルターも自動的に構成される 優れものです。 考えれば考えるほど 美味しい 回路と言えそうです。 

幸い、タムラ他 インプットトランスの手持ちが数種類ありますのでそれを流用します。 また、お手軽サンスイの小型トランス STシリーズも手持ちがありますので確認してみます。


さてさて、その結果や 如何に ・ ・ ・ ・ ・ ・
.                ブログとは、回路定数が変わってます




手軽に手に入るトランスとして、サンスイの小型トランス STシリーズ と タムラの TKシリーズがありますが、そんな中から 今回は、ST-23 (2K:2Ks) と TK-20 (600s:10K)の例です。 写真には その他のトランスも写っていますが、ST-23 / TK-20について 紹介いたします。



使用する DAC基板例
CS8416/DAIとPCM1794/DACチップで構成されており、
差動電流出力(PCM1794そのまま)で 出力されます。
IV変換回路は ありません。



トランス式 IV変換回路

PCM1794/1792の電流出力は下記の通りです。
負荷側から見たPCM1794の出力は定電流回路
ですからインピーダンス的は無限大となります。

従って、周波数特性的には低いインピーダンスで
受けたほうが分布容量や浮遊容量による高域の
落ちが防げると思われます。 また 6.2mAポイント
がオフセット値ですから、DCRの小さなトランス
の方がDC成分が小さくなり効率も良くなります。




トランスの一般的な公式として

    V1/V2 = N1/N2 (電圧と巻数は比例 )
    I1/I2 = N2/N1 (電流と巻数は反比例)


 変流器として使えば シンプルな  IV変換回路が組めそうです。
この方法は、トランス自体が 高周波を通しにくい 特性を生かし、ローパスフィルターを省略することも可能です。 

 またグランドの接続をうまく処理すればDAC側とアンプ側をトランスを境に絶縁することも可能です。 ( 測定では、1次側のグランドと2次側のグランドを結んだ方が リニアなS/Nレシオでは有利でした。特別な理由が無い限り、1次と2次のグランドは結んだ方が無難です )

 下図がトランス式IV変換回路の概念図ですが、この回路で

   (1) IV変換 (電流−電圧変換)
   (2) ローパスフィルター (ハイカットフィルター)
   (3) バランス−シングル変換 (平衡/不平衡)

の 3つもの機能を併せ持つ シンプル回路です。





オペアンプで組むと こんな 回路 になります。  

以下の実験データは特に断りが無い場合、PCM1794を前提としています。


サンスイ
ST-23 実験


ST-23を使用したIV変換回路例 (片ch分)


サンスイ STシリーズ
サンスイのSTシリーズ ドライバトランスの手持ちに、1次側がセンタータップのものがありませんでしたので、2次側のCT付き 巻き線側を1次側に見立てて(入れ替えて)使用します。 

手持ちは、ST-23 2K:2K(CT)がありますので、1次-2次ひっくり返して使いました。 (DCRが小さい方が良いので、昇圧タイプとなるものが好ましいと思われます。 新たに購入するのであれば ST-75 あたりが良いかもしれません) コアボリュームが小さいこともあって、出力電圧(変換出力)が、 デジタル0dB入力時に 1Vを超える変換になる場合、波形がクリップするようです。 0dB時に歪みが立ち上がらずS/N的な最大点としては 約 0.7V が 本トランスの実力なようです。

2次側の抵抗(IV変換抵抗)を、470Ωとしました。

また、低音域が落ちやすい(インダクタンスが小さい)ので 1次側を 470Ωでダンプしています。


  ◆デジタル 0dB時変換出力電圧=680mV です。
 


試聴:

出力電圧がちょっと小さいので、アンプのVR位置がいつもと異なるのが 気になるものの、トランスの単価を考えると 結構いける音です。 
ゲイン不足を補うために オペアンプを使ったりすると、シンプル回路をモットーとするトランス式 IVには ST-23は向かない、ということになりそうですが、レベル的に問題無いのなら 遊んでみる価値はあります。 ST-23は、マルツや 千石電商で @600位 で 手に入ります。 

ST-75ではどうなるのか、後日(入手できたら)再試験をしてみます。

周波数特性





タムラ
TK-20 実験


TK-20を使用したIV変換回路例 (片ch分)



手持ちには、TK-20 600(CT):10kΩのものがありましたので これを使用します。 コアボリュームの違い・クォリティの違いで、サンスイの小型トランスよりぐっと余力があるようで、 2V位の出力を出しても波形クリップは認められません。 歪み率を見ながら、0dB入力時に出力電圧が2V位になる 2次側の抵抗は、4.7kΩでした。

1次側に ST-23の場合と同等に、470Ωを入れてます。 無くてもST-23の時ほど、周波数の暴れはないのですが S/N的有利だったので同等の470Ωを入れています。


  ◆デジタル 0dB時変換出力電圧=2.19V です。



試聴:

ボーカルの臨場感が良く出ていて、これは結構いけます。 やや繊細さに欠けるきらいがあるような気もしますが、Jazzピアノ やボーカル等は定位がしっかりとして 良い感じです。 音質的な傾向は、先に述べた ST-23 とも同じでですが、しっかり感・しっとり感はこちらのTK-20の方が上です。

OPA604/2604を使用した IV変換回路も元気の良い音がして好きなのですが、TK-20トランスIVと比較した場合、オールマイティという点では、OPA604/2604に軍配が上がるかもしれません。




周波数特性





< 参考 >
 ・センタータップ付き側の巻き線を 1次側として使用します。
  トランスのそれぞれの hot を電流出力の +/- に 接続すます。
 ・1次側にパラレルに470Ωを入れていますが、DACの
  出力インピーダンスが高い(電流ドライブ回路)ので470Ωで
  ダンプしています。
 ・センタータップは、DCA基板のグランドに接続します。
 ・2次側には、電流-電圧変換用抵抗を接続します。 この抵抗値で
  出力電圧が決まります。
   実験の結果 ST-23 では 470Ω、TK-20では4.7KΩ としました。
  出力インピーダンスが、この抵抗で決まりますのであまり 大きくし
  ない方が良いでしょう。

 ・2次側の抵抗は音質に影響します。
   お気に入りのタイプの抵抗を使いましょう。

 ・Analog Devices社からトランスIV回路の資料が出ています。
  あまり読み込んでいませんが 興味のある方は こちら
  参照ください。
  






参考資料

オペアンプ式推奨IV変換基板

通常のIV変換回路
使用している DACチップの出力が 電流出力となっており、アンプとの接続には 電流-電圧変換と サンプリングクロックを除去するための ローパス・フィルターが必要です。 オペアンプを使用した IV変換回路に LPF を組合せて構成します。また、PCM179*  シリーズの電流出力は、差動電流タイプですので Lch/Rch で 電流変換回路は 4回路必要になります。また電圧に変換された差動電圧出力を シングルエンドに変換する回路を組合せます。

DAC回路はIC化されており、使用するDACチップが決まってしまえば、ユーザの参加する余地はないのですが上記のIV変換回路は、OPAを使用したアナログ回路であり、ユーザが好みに応じて 回路設定をしたり、使用する素子に好みの音質が得られるモノを使用して カスタマイズが可能です。 

OPAを使用した IV変換回路例 (片ch分)


そこで、DAC用IC と IV変換回路を独立基板として 分けた 基板を用意しました。 DAIのCS8416とPCM1794又は、PCM1798を組み合わせたタイプがあります。 





推奨IV変換基板
独立させた IV変換基板ですが、推奨基板は 1回路タイプのオペアンプで基板設計してあります。 これは1回路タイプにしか存在しない オペアンプを使用可能とするためです。 推奨用として用意したIV変換基板では、BBのOPA604 (2回路入りはOPA2604) または、TIのNE5534 (2回路入りはNE5532)を使用してますのでこれまでのDAC基板と音質的には共通としています。 ICソケットを使用していますのでユーザの手持ちのお好みのオペアンプに交換することでカスタマイズが可能です。 


なお周辺のCRパーツはどちらの基板も 同じパーツを使用しています。
(KOA小型金属被膜抵抗、フィルムコンデンサ、Muse電解コンデンサ等)
左:NE5334タイプ    右:OPA604タイプ




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