電子
VR基板を、+5V の単一電源で使う

+5V単一電源で使いたいが 」 との質問があったので 方法を考えてみました。

方法は、2通りあります。 この基板で±15Vを必要とするのはバッファーアンプです。 
従って このバッファアンプを どのように処理するかが ポイントになります。

 1.バッファアンプを使わないでアンプ回路をパスし直接出力するという方法。

 2.バッファアンプに、5V単一電源で使えるものに替えるという方法。



 以下、改造方法について説明します。

 1.バッファアンプ無し

  要するに バッファアンプを使わない ということである。 VR IC の出力を そのまま出力pinにつないでしまう方法である。
  バッファアンプを入れないと 電子VR基板の出力端子の インピーダンスは、40KΩ相当の可変抵抗を使った状態と ほぼ同じ事なり
  基板からの 引き回しが制限されるが、考え方によっては 割り切りできる内容でもある。

  よく使用される 50KΩAカーブ のボリュームを入れたと思えばいいわけである。
  それでも 操作用 ロータリーエンコーダ と 電子VR基板は ケーブルで結び、電子VR基板とは 別なので 基板の位置を考慮すれば、
  信号系の 引き回しは この電子VR基板を使った方が 楽になる可能性は 十分ある。

  (この方法は、今回使った電子VR用ICの構造が、抵抗値を C-MOSスイッチで切り替える という単純な構造によるもので
    他の 電子VR用ICでも 同じ扱いになる 訳ではない)
  
  
     < 回路図 >  出力部のみの抜粋です
   

   写真を 見せるほどのものでもないのだが、方法として オペアンプをソケットから抜いて ICソケットの 1pin-3pin、 5pin-7pin を
   ショートする方法である。  この時、ショートに使うワイヤの太さは、0.3φ程度でないと挿しにくい。

   恒久的には、基板半田面でショートジャンパを半田付けする方が安心である。

     
     実働している基板を改造してみたが 全く問題無く動作する。 当然のことではあるが





 2. +5V単一電源で使えるオペアンプ対応にする。

   オペアンプは いろいろありますが、電圧バッファ つまり、ユニティゲイン(ゲイン0dB)で使えるものということが選択条件です。
   これは 入出力電圧がともに レールツーレールが必須です。 電源電圧は わずか +5V しかありませんので めいっぱい
   電源電圧を使用できる事が ポイントになります。 出力電圧が レールツーレール という オペアンプは 結構ありますが、
       入力も レールツーレールというオペアンプは 比較的 対応製品は 多くありません。
       今回は、JRCの NJM2732を使用してみました。
   
   回路はこのようになります。 電子VR ICからの出力は、Vcc/2 のDCが出力されますので オペアンプに 直接接続できます。
   オペアンプの出力にも Vcc/2 出てきますので、ここには カップリングコンデンサが必要です。
   
     < 回路図 >   出力部のみの抜粋です
   


  改造方法は、基板のバージョンによって異なります。

    <V2.0基板使用の場合。 2010年9月以降の基板>
    基板を半田面から見た時の加工図です。
    (1)C605/606 50V1 をショートし、 
    (2)JP5,JP6の半田ショートを取り除き
    (3)C607,608 電解コンデンサを挿入・半田付けします。
    (5) C609のプラス側とC621のプラス側を線材(ポリウレタン線等)で結べば (+5V)
    改造完了です。 CN603は使用しません。
  



    <V1.1基板使用の場合。 2010年9月以前の基板>
    基板を半田面から見た時の加工図です。
    (1) R605/606 100K をカットして、 (2 )C605/606 50V1 をショートし、 (3 )CN602の1pinと4pinにつながるパターンをカットし
    (4 )コンデンサを裏付けし、 (5) C610をショートし、 (6) C609のプラス側とC621のプラス側を線材(ポリウレタン線等)で結べば
    改造完了です。 CN603は使用しません。

   

   
          <加工後の基板>

       


   < 確認結果 >
   動作状態を 確認してみると、電子VR ICの出力は 2.0V程度まで クリップしませんが、オペアンプは 流石にそこまでの
   振幅には対応できません。 (Vcc/2)p-pV を 実効値に換算した 1.7V でクリップが始まります。 スペック通りというわけです。
   これは 約-1.4dBに相当しますが、現実的には 問題はないと思われます。 VR位置最大で 再生レベル0dBを 出力することは
   実使用では あり得ないことです。 (デジタルの場合、0dBを超えるレベルが再生されることはあり得ません)
   気になる場合は、VR基板入力レベルを デジタル再生0dB時、1,7V以下になるように 設定すればOKです。
   

   <測定結果> VR位置 MAX(-0dB)時
   赤色が、VR IC 出力で、黄色が オペアンプ出力です。
   電子VR IC の出力がクリップをはじめるレベルは 約2.0Vrmsです。
   この時、既にオペアンプ出力はクリップしています。

  

  入力を絞り、オペアンプNJM2732の出力が クリップするレベルを見てみると 約1.77Vrmsです。 
  DC5Vで使用してますので 理論最大出力 = 5v/2/1.414 = 1.77Vrms  ですから
  NJM2732としては 完璧な レールツーレール動作していることが 確認できます。
  




今回改造に使った、オペアンプ(NJM2732)を、同時購入オプション(@300)として用意しますので、改造は各自で行ってください。
改造は、このような基板キットの楽しみかたの一つだ、と考えます。 自己責任でお願いします


< 戻る >


(c)2010 mi-take